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第9回 誤認表示の禁止と適用例

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弁理士 矢口和彦事務所
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第9回 誤認表示の禁止と適用例

第9回 誤認表示の禁止と適用例

2024/12/12

第9回 誤認表示の禁止と適用例

1. 序論:真実を伝えることの重要性

現代社会において、私たちは膨大な情報に囲まれながら日々を過ごしています。特に、製品やサービスを選ぶ際には、その品質や特徴に関する正確な情報が不可欠です。しかし、企業の中には、自社の製品を有利に見せるために、事実と異なる情報を表示し、消費者を誤らせるケースが後を絶ちません。このような不正行為は、消費者の選択を歪めるだけでなく、健全な市場競争を阻害する深刻な問題です。

不正競争防止法は、このような不正行為を未然に防ぎ、公正な市場環境を維持するために、誤認表示を厳しく禁止しています。本稿では、誤認表示の具体的な事例を交えながら、その定義、種類、規制内容、そして企業が取るべき対策について詳しく解説していきます。

2. 誤認表示とは?

誤認表示とは、製品やサービスに関する品質、内容、製造方法など、さまざまな属性について、実際とは異なる情報を表示し、消費者を誤らせる行為を指します。例えば、「天然成分100%」と表示されているのに、実際には合成成分が含まれている場合などが挙げられます。

このような誤認表示は、消費者の購買意欲を煽り、不当な利益を得ようとする悪質な行為であり、法律によって厳しく禁止されています。

3. 誤認表示の種類

誤認表示は、その内容によって以下のように分類されます。

  • 品質に関する誤認表示: 耐久性、安全性、機能性など、製品の品質に関する虚偽の表示
  • 内容に関する誤認表示: 原材料、成分、含有量など、製品の内容に関する虚偽の表示
  • 製造方法に関する誤認表示: 手づくり、国産、オーガニックなど、製造方法に関する虚偽の表示
  • 使用目的に関する誤認表示: 健康効果、美容効果など、製品の使用目的に関する虚偽の表示
  • 数量や規格に関する誤認表示: 容量、サイズ、規格など、製品の数量や規格に関する虚偽の表示

4. 誤認表示に対する規制

不正競争防止法は、誤認表示を「不正競争行為」として位置づけ、厳しく禁止しています。同法では、事実と異なる表示によって消費者を誤認させる行為は、不正競争行為に該当すると明記されています。

また、誤認表示に関する規制は、不正競争防止法だけでなく、景品表示法、薬機法、食品表示法など、さまざまな法律によって網羅的に行われています。

5. 誤認表示の具体的な事例

  • 化粧品業界: 「シワを消す」や「美白効果」といった効果を過剰に宣伝するケース
  • 食品業界: 「国産」や「無添加」といった表示を偽って使用する場合
  • 健康食品業界: 「○○病に効く」といった効能を過大に宣伝するケース

これらの事例のように、誤認表示は、あらゆる業界で発生する可能性があります。

6. 企業が取るべき対策

企業が誤認表示を防ぐためには、以下のような対策が不可欠です。

  • 法令遵守体制の構築: 社内に法令遵守体制を構築し、広告表現のチェックを徹底する。
  • 専門家への相談: 法律や科学的な知識を持つ専門家に相談し、表示内容の適法性を確認する。
  • 消費者からの意見の収集: 消費者の意見を積極的に聞き取り、誤解が生じやすい表現がないか確認する。
  • 定期的な見直し: 表示内容を定期的に見直し、法改正や市場の変化に対応する。

7. 結論:消費者との信頼関係を築くために

誤認表示は、企業の評判を大きく損なうだけでなく、消費者との信頼関係を破壊する可能性もあります。企業は、誠実に製品やサービスに関する情報を提供し、消費者の信頼を獲得することが重要です。

不正競争防止法を遵守し、公正な競争に貢献することで、企業は長期的な成長を実現することができます。

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