第8回 著名表示冒用とフリーライド行為の規制
2024/12/11
ブランドを守るための「著名表示冒用」と「フリーライド行為」規制
序論
不正競争防止法は、公正な市場競争を守るための法律であり、その中でも「著名表示冒用」と「フリーライド行為」に関する規制は、特に企業のブランド価値や信用を守る上で非常に重要です。他社のブランドやデザインを無断で利用することで、自社の利益を不正に得る行為は、企業の努力を台無しにし、消費者の信頼を損なう可能性があります。本稿では、これらの行為の定義や法的規制、具体的な事例を紹介し、中小企業が取るべき実務上の対策を解説します。
著名表示冒用とは?
著名表示の定義
著名表示とは「著名商品等表示」の略です。「商品等表示」とは、商品やサービスの名称、ロゴ、スローガン、パッケージデザインなど、消費者がその商品やサービスを特定するために使う表示のことを指します。そして「商品等表示」のうちで、「著名」なものが著名商品等表示、即ち「著名表示」です。ここでいう「著名」とは、一般消費者に広く知られていることを指します。例えば、ナイキの「スウッシュ」ロゴやコカ・コーラの赤いパッケージデザインは、消費者に瞬時にブランドを連想させる著名表示です。
冒用の定義
「著名表示冒用」とは、他社の著名な表示を無断で使用し、自社の商品やサービスに利用する行為を指します。これにより、消費者に誤認を与え、自社の利益を不正に得ることが目的となります。
フリーライド行為とは?
定義と関係性
「フリーライド行為」とは、他社のブランドや商品、サービスの評判に便乗して、自社の利益を得る行為です。これは、著名表示の無断使用を通じて行われ、公正な競争を阻害し、消費者の誤認を招きます。
法的規制
著名表示冒用への規制
日本の不正競争防止法では、他社の著名表示を無断で使用する行為を禁止しています。具体的な禁止行為には、商標やロゴの無断使用、パッケージデザインの模倣、キャッチフレーズやスローガンの冒用が含まれます。
フリーライド行為への規制
フリーライド行為も同様に、不正競争防止法によって規制されています。公正な競争を阻害し、消費者に誤認を与えるため、法的に禁止されているのです。
事例紹介
アップル対中国の模倣企業
アップルの製品デザインやロゴを模倣した企業が問題となり、アップルは法的措置を講じました。裁判所はアップルの著名な商標やデザインが不正に使用されたと判断し、模倣企業に対して賠償金の支払いと販売差し止めを命じました。
ルイ・ヴィトン対日本の模倣業者
ルイ・ヴィトンのデザインを無断で使用した業者に対し、ルイ・ヴィトンは訴訟を起こし、裁判所はブランド価値の侵害を認定しました。模倣業者に対して高額な賠償金と商品の差し止めが命じられました。
実務における対応策
ブランド保護のための法的措置
- 商標登録の徹底: 著名なロゴや商品表示を商標として登録し、法的保護を強化する。
- 市場の監視と模倣品の摘発: 市場を定期的に監視し、違法な使用が確認された場合には迅速に対応する。
- 差止請求と損害賠償請求: 不正使用が確認された場合には法的措置を講じ、ブランド価値を守る。
消費者保護と誤認防止
オンラインショッピングの普及に伴い、消費者が正規品と模倣品を区別しやすいよう、正規販売店の表示や公式ウェブサイトでの注意喚起が重要です。
結論
著名表示冒用とフリーライド行為は、企業のブランド価値や消費者の信頼を大きく損なう不正行為です。中小企業は適切な対策を講じてこれらのリスクを回避し、公正な競争を促進することが求められます。商標登録や市場監視を徹底し、法的措置を講じることで、ブランドを守り続けることが重要です。
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