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第9回著作権 海外における著作権制度と保護の概要

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著作権第9回 海外における著作権制度と保護の概要

著作権第9回 海外における著作権制度と保護の概要

2024/12/01

海外における著作権制度と保護の概要

はじめに

デジタル社会の発展に伴い、コンテンツが国境を越えて流通し、グローバルなビジネスが一般化しています。このため、クリエイターや企業にとって、海外でも著作権を守ることが不可欠です。しかし、各国の著作権法には多くの違いがあるため、海外での著作権保護に関するルールを把握することは簡単ではありません。本稿では、国際的な著作権保護の枠組み、主要な国際条約、およびグローバルビジネスにおける著作権保護のための実務的な対策について解説します。

1. 各国の著作権法とその違い

著作権法は、創作物の無断使用を防ぎ、著作権者に複製、配布、展示、改変、二次利用などの独占的な権利を与えることを目的としています。しかし、著作権法の詳細な内容や保護期間は国ごとに異なります。

たとえば、アメリカと日本では著作権の保護期間は作者の死後70年ですが、フランスでは「著作者人格権」の保護が強く、作品が作者の意図に反して改変された場合に抗議する権利が保障されています。一方で、アメリカではこの著作者人格権の範囲は限られており、こうした国ごとの違いがグローバルでの著作権保護を複雑にしています。

 

保護期間

備考

アメリカ

作者の死後70年。法人の場合は発表後95年。

著作者人格権の保護は限定的。

日本

作者の死後70年。

公文書や一部の法律は対象外。

フランス

作者の死後70年。

著作者人格権の保護が強力で、改変や不適切な使用に対して訴訟が可能。

 

このように、各国の著作権法には微妙な違いがあり、特に国境を越えたビジネスでは、各国の制度を理解することが重要です。

2. 国際的な著作権保護の枠組み

国際的に著作権を保護するため、いくつかの国際条約や協定が存在します。これらの枠組みにより、クリエイターは自国以外でも著作権が認められ、一定の保護を受けることができます。ここでは、特に重要な条約について説明します。

2.1 ベルヌ条約

1886年に成立したベルヌ条約は、現在約180か国が加盟する著作権保護の国際枠組みで、「内国民待遇」と「無方式主義」を特徴とします。

  • 内国民待遇:ベルヌ条約に加盟するすべての国で、他国の著作物も自国の作品と同じ保護を受けます。たとえば、日本で保護される作品は、フランスでも同様に保護されます。
  • 無方式主義:著作権は作品が創作された時点で自動的に発生し、登録や明示的な手続きを必要としません。この原則により、迅速な国際的な保護が可能となっています。

2.2 WIPOと著作権条約

世界知的所有権機関(WIPO)は、知的財産の保護を促進する国連機関です。1996年に「WIPO著作権条約(WCT)」が採択され、特にインターネット上での著作権保護が強化されました。この条約では、オンラインでの作品配信やデジタル複製に対する保護を明確化し、クリエイターがデジタルプラットフォームでも安心して作品を公開できる環境が整えられています。

2.3 WTOとTRIPS協定

世界貿易機関(WTO)のTRIPS協定は、知的財産権保護に関する国際基準を設けたものです。この協定により、WTO加盟国はベルヌ条約に基づく著作権保護基準を遵守することが求められており、特に商業的な利益を守るための知的財産権侵害防止に力を入れています。

3. 国際ビジネスにおける著作権保護の重要性

デジタルメディアの普及により、国際的な著作権侵害のリスクが増加しています。特にインターネット上での無許可のコピーや配布は大きな問題となっており、海外でも著作権を確保する対策が重要です。

3.1 海外での著作権登録のメリット

ベルヌ条約の加盟国では原則として著作権登録は不要ですが、実務上、著作権登録が役立つケースもあります。たとえばアメリカでは、著作権登録が訴訟での損害賠償請求に有利な証拠となります。また、中国では著作権登録が知的財産権の主張を強化するため、著作権登録が推奨されています。

3.2 著作権侵害防止のための実務的な対策

海外での著作権を保護するためには、以下の具体的な対策が効果的です。

  • 著作権登録:法的に著作権を主張するための証拠となる著作権登録を行う。
  • デジタル著作権管理(DRM):デジタル著作権管理技術を活用し、不正利用を防止。
  • 契約の明確化:契約において著作権の使用範囲や期間、地域を明記し、侵害時の対応を取り決める。
  • 監視体制の整備:モニタリングシステムを導入し、特にインターネット上での著作権侵害を監視する。

4. 国際的な著作権侵害への対応

万が一、他国で著作権侵害が発生した場合には、次のような手段で対応します。

4.1 知的財産保護団体の活用

著作権侵害が海外で起きた場合、各国の知的財産保護団体のサポートを受けることができます。日本の著作権情報センター(CRIC)やアメリカの著作権オフィス(U.S. Copyright Office)などを活用することで、侵害行為の調査や法的手続きのサポートを受けられます。

4.2 現地弁護士の活用

侵害が深刻な場合、現地の法律に詳しい弁護士に相談し、訴訟を提起することも選択肢です。各国の著作権法に基づいた適切な対策を取るためには、現地の弁護士のサポートが重要です。

結論

国際的な著作権保護は、グローバルビジネスの中で非常に重要な課題です。ベルヌ条約やWIPO、TRIPS協定などの国際的な枠組みによって基本的な保護が提供されていますが、各国の法制度の違いを理解し、適切な対策を講じることが欠かせません。

 

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