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著作権第2回 著作権の種類とその範囲:どのような権利があるか

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著作権第2回 著作権の種類とその範囲:どのような権利があるか

著作権第2回 著作権の種類とその範囲:どのような権利があるか

2024/11/24

著作権の種類とその範囲:どのような権利があるか

はじめに 著作権法は、創作物が無断で使用されるのを防ぎ、創作者の権利を守るための重要な法律です。「著作権」と一口に言っても、その中には様々な権利が含まれ、それぞれの目的や範囲が異なります。単なる「複製権」に留まらず、作品の公開や変更、二次利用の制限まで幅広い権利が含まれています。今回は、著作権に含まれる権利の種類とその保護範囲、保護期間について詳しく解説します。

著作権の基本構成:財産権と人格権 著作権は大きく分けて「財産権」と「人格権」の2つの側面を持ちます。

  • 著作権(財産権):著作物を利用することで利益を得るための権利です。
  • 著作者人格権:創作者の人格的表現としての著作物を守る権利で、著作物が意図に反して改変・利用されることを防ぎます。 これらのうち、財産権は主に著作物の商業利用に関連し、人格権は作品の創作者としての名誉や意図を守るためのものです。

著作権(財産権)に含まれる主要な権利 著作権の財産権として、著作物の利用を保護するための具体的な権利には以下のものがあります。

  1. 複製権:著作物を無断でコピーする行為を禁止します。あらゆる形式での複製が対象です。例として、書籍や音楽CD、画像の無断複製が挙げられます。
  2. 上演権・演奏権:著作物を人前で上演・演奏する権利を保護します。無断での演奏や上演が禁止され、コンサートや舞台での無許可の使用もこれに該当します。
  3. 上映権:映画や映像作品をスクリーンなどで観客に見せる権利です。映画の無断上映を防ぐために設けられています。
  4. 公衆送信権:インターネットやテレビ放送などで著作物を送信する権利です。YouTubeなどのプラットフォームでの無断配信もこの権利の対象となります。
  5. 伝達権:公衆送信された著作物が、別の場所で受信される形での送信を保護します。例えば、インターネットカフェでの映像配信が含まれます。
  6. 翻訳権・翻案権:著作物を他の言語に翻訳したり、異なる形式に変換する権利です。小説の映画化や他国語への翻訳が対象です。
  7. 頒布権:著作物を販売・配布する権利です。CDやDVDの無許可販売を防止するための権利です。
  8. 貸与権:著作物を貸し出す権利で、音楽や映像、書籍のレンタルが無断で行われるのを防ぎます。
  9. 二次的著作物の利用権:原著作物をもとにした二次的な創作物(例えば小説を映画化する場合)の利用権です。

著作権の保護期間 著作権には保護期間が設定されており、期間内は著作者の権利が守られます。日本では著作者の死後70年間が保護期間で、法人や団体が著作権を持つ場合には公表後70年と定められています。この期間が経過すると、著作物は「パブリックドメイン」となり、誰でも自由に利用できるようになります。

著作者人格権 著作者人格権は、著作物に対する創作者の人格的な権利で、無断改変や意図に反する利用から守られます。著作者人格権には次の3つの権利があります。

  • 公表権:著作物を公表するかどうか決める権利。
  • 氏名表示権:著作物に著作者の名前を表示するかどうかを決める権利。
  • 同一性保持権:著作物を無断で改変されない権利。 人格権は著作者が亡くなっても永久に保護され、著作物がパブリックドメインに移行した後も、この権利に基づいて意図に反した利用が制限されます。

著作隣接権 著作隣接権は、著作物の表現や配信に直接関与する人々に与えられる権利です。主に以下の関係者に適用されます。

  • 実演家:俳優や歌手、演奏者など、作品を演じる人々。
  • レコード製作者:音楽CDなどの製作会社。
  • 放送事業者:テレビやラジオ放送を行う事業者。 著作隣接権の保護期間は50年で、著作物の流通や利用に関わる権利者を保護するために重要な役割を果たします。

まとめ 著作権は、著作物を保護し、創作者がその利用を管理できるようにするための多様な権利で構成されています。著作権の財産権により、創作物の無断利用が制限され、経済的利益が守られます。一方で、著作者人格権は作品に対する創作者の人格的な権利を守り、著作隣接権は表現や配信に携わる人々の権利を保護します。著作権法は、創作者や関係者の権利が多方面から保護されるような制度となっており、著作物の適正な利用を支える重要な役割を担っています。

 

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